白馬完走記

「NO26 大和撫子旋風 谷口 ケイ」 女子チーム部門優勝、総合8位

初めての白馬ペアラン、お疲れ様でした。 どんな大会なのか、全然分からず、というか意識もせずに白馬へ行こう!とただそれだけで 出掛けていってしまいましたが、まさかこんなマゾちっくな大会に、こんな(38チームも!)沢山の参加者が集まってくるとは思いませんでした。 100kmMTBといい、山岳レースといい、最近の日本人は随分マゾになったものだとつくづく思っております。
  ちなみに、そんなレースに度々出掛けてはおりますが、もちろん私は決してマゾではありませんので、あしからず。 何はともあれ、大会前日、山の上で雪が降ったという情報がどこからか入り、どきどきしながら当日の朝を迎えた。寒さ嫌いの私は、寒さ対策を万全にしていたものの、相棒のさくらは装備不十分で、コンビニでビニール合羽を購入して準備万端(だと思っていた)。しかも指無しグローブ!あ〜・・そりゃ寒いよ。だって雪だよ、雪。他の選手は超短パンの人もいるし・・・、みんな3000m近い稜線がどんななのか分かっているのかな。

なんて心配をよそに、スタートからゲレンデの激登り。すぐに汗が沢山でてきてしまった。登るにつれて、紅葉の間から見えてきた頂上稜線は、やっぱり雪化粧だ。霧もどんどん晴れてきて、青空が頭上に広がってきた。
紅葉に雪の山に青い空。最高のシチュエーションだ。こんな日なら、レースもどんどん楽しくなる。
しかし止まると寒いことを実感する。汗が急速に冷えていく。CP2の五竜山荘での15分間はたまらなかった。 15分間もすること無いから早く行かせて〜!

【谷口ケイ:写真左】

CP2〜3の間が一番楽しかった。雪の稜線をゆく。青空に剣岳がそびえているのがよく見える。楽しい岩場、クサリ場、そして雪。八方尾根に入ると、もう雪はすっかり無い。紅葉を見に、一般 登山者が増えてきた。レースと言えどもここはみんなの山。みんながそれぞれのスタイルで山を楽しむ。
だから、気分はかっ飛ばして下っていきたいところだけれど、登山者に申し訳ないし、驚かせちゃいけないし、スミマセン!、コンニチワ!、そして応援してくれている人にはアリガトウ!ってひっきりなしに挨拶しながら進んでいたら、すっかり声がかれてしまった。

CP3のゴンドラ乗り場付近には、登山者どころか紅葉を見にきたツアー客のような人たちも沢山いて驚くと共に、走り抜けていく自分たちの存在が申し訳なくて、肩身が狭かった。ほとんどの人たちが応援してくれたけど、やっぱり怒っている人もいた。そりゃそうだ、私だって数年前は、「山を走る」なんて論外だったのだから。一つの場をみんなで共有するのはなかなか難しい、と走りながら考えさせられた。
しかも、紅葉の時期で一番気候もいい時だから。登山者や観光の人に、私たちのことを理解してもらうためには、まず自分たちが相手の気持ちになって真摯な態度で接することが大切だ。それが何処の世界でもマナーだよね。

ゴンドラ乗り場より下は、一般の人はいなくなったけれど、ハンググライダ-やパラグライダーの人たちの間を縫って駆け下りていった。雪の無いゲレンデは、穴ぼこが開いていたり、石が転がっていたりで油断禁物。神経をすり減らしながら激下っていくと、ようやくゴールのジャンプ台が見えてきた。振り返ってみると、雪の稜線はもうすっかり見えない。
あ〜ぁ、あっという間に下りてきちゃったな。まだお昼時。
思ったよりのんびりと温泉に入れることになって、大満足。
美味しいものも食べて、白馬を満喫した長いようで短い一日だった。
                                    谷口ケイ