セルフディスカバリーアドベンチャー マウンテンラン・ペアマッチレース
IN HAKUBA レポート&リザルト




 これって遊び?!スタートから標高差1,600メートルもある山腹を駆け登り、休む間もなく今度は3,000メートル近い峰々を尾根づたいに駆け抜ける。そして最後は延々と11キロも続く下りをひたすら駆け降りる・・・。“フルマラソンが完走できて、高い所が大丈夫ならきっとなんとかなるよー”パートナーにそう言われて初参加した女性は、制限時間の少し前に無事ゴールにたどり着き、われながらこんな過酷なレースをよくやったなあと、あきれた顔のなかにも達成感でみなぎった表情を残してゴールをあとにした。遊びというにはあまりにハード。遊びというにはあまりに感動的。

 昨年に続き今年も10月最初の日曜日に、セルフディスカバリーアドベンチャー・マウンテン・ペアマッチチャレンジin白馬は、国内有数の北アルプス連山の峰々を舞台に開催された。男子9、女子3、混合8のエントリー数20チームが参加して開かれた今年のレースには、山岳ランニングのスペシャリストやアドベンチャーレースの常連チーム、ウルトラマラソンの完走者など、さまざまなアスリートが顔をそろえた。
 薄曇りのまずまずの天気の下、選手たちは午前6時に白馬ジャンプ競技場前を一斉にスタート。しかし、スタート直後の山頂付近の気温は4度と、今年も厳しいコンディションのなかでのレースが予想される(昨年の大会は前夜からの吹雪で頂上付近は一面雪に覆われレースの開催も危ぶまれたが、当日は雲ひとつない晴天に恵まれ、南方には富士山が、そして北側には日本海の富山湾が一望できる絶景の大パノラマのなかでレースが行われた)。

 八方山麓から唐松岳に向かうこのコースは通常、登山装備で身を固めた登山者が行き交うルートで、初秋には紅や黄に色づく紅葉の名所としても知られるポイント。選手たちは登山者に声を掛けながら息を切らせて先を進み、目指す第1ステージゴールの八方池山荘に到達。ここで15分間の休憩の後、さらに険しくなる岩肌の登山道を一歩一歩登りつめ、本大会の最高地点(2620メートル)でもある中継ポイントの唐松山荘を通過する。通常の登山では7〜8時間を要するが、今回のトップチームの「フジカワ山岳会」はなんとここまで2時間余りで駆け上がり、予想を上回るハイペースで次なるステージゴールの五竜山荘に走り去った。

 本レースの最大の難所でもある唐松岳=五竜岳間は、岩肌が剥き出しの山岳路。ルートのところどころにクサリを打ち込んだ“鎖場”が点在し、選手たちのペースにブレーキを掛ける。特に唐松山荘の通過直後に待ち受ける通称“牛首”周辺は、足下が数百メートルも落ち込んで目がくらむほどのポイント。選手たちはお互いを励まし合いながら手足を使って一歩一歩前へ進んで行く。「ペアマッチチャレンジ」ならではのアドベンチャーレースを選手一人ひとりが楽しんでいる瞬間だ。

 第3ステージのスタートとなる五竜山荘からは下りのコースとなり、選手たちのペースも一気に加速する。しかしここも油断禁物のゾーン。尾根づたいに気持ちよく駆けるも、一歩足を踏み外せばけっして一人では這い上がってこれない深〜い谷がいたるところに待ち構えている。軽快に、しかし慎重に選手たちはゴールを目指して駆け下りる。

 標高をようやく2,000メートルまで降りたところが最終チェックポイントの小遠見山。ここで最後の休憩タイムを取り、エネルギー補給を済ませてスタート時間を待つ選手たちに、昼過ぎから降り始めた冷たい雨がさらに容赦なく体力を消耗させる。一緒にここまで走ってきたパートナーに声をかけお互いを確認し、いよいよ最終ステージをスタート。疲労が溜まってはいるがリズムよく足を蹴り出しながらひたすらコースの斜面を駆け下りる。気温もわずかながら上がり、眼下にはうっすらと白馬の街が見えてきた。白馬五竜スキー場のゴールまであとわずか。
トップチームは昨年の記録を大幅に更新する4時間15分でゴール。

 最終チームは10時 間39分で無事完走を果たした。     フィールズ・野々山晴之

次回のセルフディスカバリーアドベンチャー・マウンテン・ペアマッチチャレンジ は、ステージを世界遺産の島、鹿児島県屋久島に移し、来る11月14日に開催され ます。
参加をご希望の方は本ホームページよりお申し込みいただけます。
http://www.powersports.co.jp/sda/yakushima/yakushima.htm

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