「旅館街から始まり、温泉で終わる特別な舞台」
OSJトレイルランニングシリーズ2025最終戦。
舞台は兵庫県・香美町。
冬は関西最大級のスノーリゾートとして知られるハチ北スキー場を中心に、ワイルドなフィールドが広がるエリアだ。この時期、稜線から見下ろす景色は、赤・橙・金が折り重なる秋のグラデーションに染まる。
前身となる氷ノ山山系トレイルレースから派生し、地元の「ハチ北観光協会」「美方高原自然の家」「兎和野高原野外教育センター」の協力のもと、100km周回レースとして生まれ変わったのがOSJ KAMI100である。
今年からスタートはハチ北旅館街、フィニッシュ地点は「ハチ北温泉 湯治の郷」へ。
宿から徒歩でスタート地点へ向かい、フィニッシュ後はそのまま温泉へ——。
ランナーにとってこれ以上ないシチュエーションが整った。
ランナーを迎え、送り出し、癒やす“山の玄関口”
スタート/フィニッシュ地点は、昔ながらの旅館街の中心。
“山へ向かうランナーを見守る場所”として、どこか特別な空気をまとっている。
夜の月明かり、早朝の冷たい空気、旅館街の静けさ。
そこにランナーの緊張と高揚が重なり、「ここから物語が始まる」という空気が自然と生まれていく。
「戻ってこられる場所」
KAMI100の大きな特徴のひとつが、1周・2周・3周と距離を選べる周回形式だ。
今年は1周、来年は2周。段階的に挑戦できることで、自分の成長を実感しやすい。
同じコースを何度も進む周回形式は、単調だと感じる人もいるかもしれない。
しかし、初めて100kmに挑戦する選手にKAMI100をすすめる理由は、
この「戻ってこられる場所」がはっきりと存在することにある。
スタートとフィニッシュは、昔ながらのハチ北旅館街の中心。
山から戻るたび、灯りのともる宿と沿道の声援、温泉の湯気が、選手を迎えてくれる。
「今年は何周を目指すか」
目標を描きやすく、一度走ったコースだからこそ、
次の周回に向けたペース配分や補給、そして心の整え方まで具体的に考えることができる。
とはいえ、周回コースであっても状況は常に同じではない。
昼と夜、晴れと雨、気温の低下——
同じ旅館街や稜線の景色も、時間とともにまったく違う表情を見せる。
制限時間は25時間。
温泉の湯気が立ちのぼるフィニッシュ地点へ戻るたび、
「ここで終えるか、もう一周向かうか」という選択が突きつけられる。
「昨年は2周で終わったが、今年は3周へ踏み出せた」
周回形式だからこそ、その一歩の重みと成長ははっきりと実感できる。
KAMI100は、
山と向き合い、旅館街へ戻り、温泉に癒やされながら、
挑戦の積み重ねを確かな“実感”として刻んでいく場所だ。
「エイドも人も温かい」
ハチ北温泉、美方高原自然の家、兎和野高原野外教育センターの各エイドでは、
地元スタッフが温かい飲み物や食べ物を用意し、ランナーを迎えてくれる。
冷え切った身体に染み渡る一杯は、ただの補給ではなく、
次の周回へ向かうための“ひと息”であり、大きな活力となる。
なかでもハチ北温泉のエイドでは、周回ごとにメニューを変えて提供。
長時間走り続けることを想定し、胃への負担にも配慮された内容だ。
周回レースだからこそ、何度も同じスタッフと顔を合わせる。
「おかえり」「いってらっしゃい」
そんな何気ない言葉のやり取りが、応援となり、力へと変わっていく。
人と人との距離が自然と縮まっていく——
これもまた、KAMI100ならではの大きな魅力だ。
生まれ変わった後半コース
今年の後半コースは、まったく新しいルートへと生まれ変わった。
地元の想いを受け、大会後から少しずつ整備を進め、ようやく開通したコースである。
しかし、当日はあいにくの雨。
コンディションは悪化し、選手を苦しめる展開となった。
100K・70Kは8:00スタート、30Kは9:00スタート。
スタート地点となった「ハチ北温泉 湯治の郷」には、区民の方々をはじめ多くの人が集まり、ハチ北高原の自然へ踏み出す選手たちにエールを送った。
レース結果
100Kは、岡山県の高村颯選手と京都府の荻須創太選手が抜きつ抜かれつの展開。
2周目でトップに立った高村選手が、そのまま初優勝を飾った。
女子は冨澤いずみ選手が、前回KOUMI100でのリタイヤを払拭する走りで見事優勝。
OSJトレイルランニングシリーズ2025ポイントランキングでも女子総合優勝を果たし、3連覇を達成した。
70K(2周)は、地元兵庫県の桑本顕輔選手が悲願の初優勝。
新設から2023年4位、2024年2位と着実に順位を上げてきた結果だ。
女子は桑本友美選手が、昨年2位からの初優勝となった。
30K(1周)は、これから距離を伸ばしていく選手や100kmを目指す選手が集結。
男子は地元・豊島正士選手と、今季OSJシリーズで快進撃を続ける河崎鷹丸選手の一騎打ちとなり、1分差の緊迫した展開に。
最初にフィニッシュしたのは河崎選手、25秒後に豊島選手が続いた。
女子は長谷川唯選手が総合3位でフィニッシュし、2連覇を達成。会場がどよめく走りを見せた。
「関西一の大会を目指して」
地元の温かさ、いつでも試走可能なコースレイアウト、旅館街の中心にあるスタート/フィニッシュ地点、周回ごとに変わるエイド。
トレイルランニング大会として、これ以上ない環境がここにはある。
そして何より、地元リーダーの情熱。
大会を開催するうえで、最も大切な要素ではないだろうか。
フィニッシュ後、温泉に浸かりながら振り返る25時間は、
きっとそれぞれのランナーにとって忘れられない旅の記憶になる。
これからは、関西といえば「KAMI100」と言われる大会を目指し、地元とともに歩んでいきたい。
参加してくれたすべての選手、
選手を支えてくれた仲間や家族、
長時間にわたり大会を支えてくれたボランティアスタッフ、
そしてハチ北観光協会、美方高原自然の家、兎和野高原野外教育センターのみなさまへ——
心からの感謝を込めて。
【OSJ KAMI100 100K リザルト】
| 総合男子 |
総合女子 |
| 総合順位 |
氏名 |
記録 |
総合順位 |
氏名 |
記録 |
| 1 |
高村 颯 |
12:26:36 |
1 |
冨澤 いずみ |
14:45:12 |
| 2 |
荻須 創太 |
12:40:24 |
2 |
堀井 京子 |
17:01:42 |
| 3 |
茂木 敬史 |
13:14:52 |
3 |
田中 亜紀 |
17:11:46 |
| 4 |
三島 康生 |
13:44:18 |
4 |
栗山 章子 |
18:46:35 |
| 5 |
岩本 慎吾 |
13:50:57 |
5 |
赤木 雅美 |
19:20:07 |
■出走人数:181名/完走人数:141名(完走率:78%)
【OSJ KAMI100 70K リザルト】
| 総合男子 |
総合女子 |
| 総合順位 |
氏名 |
記録 |
総合順位 |
氏名 |
記録 |
| 1 |
桑本 顕輔 |
8:15:12 |
1 |
桑本 友美 |
10:52:51 |
| 2 |
田辺 勉 |
8:58:54 |
2 |
加藤 美代 |
11:42:03 |
| 3 |
江角 勝利 |
9:09:57 |
3 |
中塚 良美 |
13:06:38 |
| 4 |
三原 大輔 |
9:23:42 |
4 |
大森 恵美子 |
13:45:12 |
| 5 |
西川 昌志 |
9:26:01 |
5 |
亀山 美奈子 |
13:49:30 |
■出走人数:61名/完走人数:53名(完走率:87%)
【OSJ KAMI100 30K リザルト】
| 総合男子 |
総合女子 |
| 総合順位 |
氏名 |
記録 |
総合順位 |
氏名 |
記録 |
| 1 |
河崎 鷹丸 |
3:08:40 |
1 |
長谷川 唯 |
4:01:06 |
| 2 |
豊島 正士 |
3:09:05 |
2 |
大原 愛恵 |
5:00:20 |
| 3 |
長谷川 唯 |
4:01:06 |
3 |
森田 順子 |
5:07:28 |
| 4 |
吉川 昌隆 |
4:03:34 |
4 |
足立 亜香音 |
5:38:57 |
| 5 |
船岡 洋 |
4:04:41 |
5 |
浅津 由香 |
5:52:57 |
■走人数:56名/完走人数:53名(完走率:95%)
Photographer Akihiko Harimoto